2012年12月15日土曜日

Phantom of The Opera/ October 15 at Majestic Theatre

ロンドン発ミュージカルの傑作「ファントム・オブ・ジ・オペラ」の舞台をようやく見ることができた。ニューヨークでの公演も25年を数えるという。相変わらず集客力の高い舞台のようで、行った日の公演もほぼ満席。最初の舞台でのヒロイン、クリスティンはサラ・ブライトマンが演じたことでも有名だ。 ミュージカル・ナンバーはどちらかというとポップスよりもオペラに近いものだが、俳優たちの歌唱力もみなレベルが高く、さすがにブロードウェイといった感じだ。名曲となった「ポイント・オブ・ノー・リターン」が歌われるエンディングに近い場面では、会場全体から大拍手が沸き起こった。今宵もブロードウェイの名作に相応しい舞台を堪能できた。

GRP 30th anniversary live/ October 13 at Bluenote New York

レコーディングプロデューサー/エンジニアのラリー・ローゼンとピアニスト/作編曲家のデイブ・グルーシンによって設立されたジャズ&フュージョンのレコードレーベルが「GRP」。そのレーベルも誕生30周年を迎えるという。 そのレーベルの中心アーティストはもちろんグルーシンだが、ギタリストのリー・リトナーも大きな役割を果たしてきた。その二人が30年を記念した世界ツアーを行っているのだが、地元であるニューヨークのブルーノートに出演する機会に偶然出会うことができた。 地元ならではのリラックスした雰囲気の中、ゴキゲンなサウンドを聞かせてくれる。バックはドラムスにウィル・ケネディ、ベースがトム・ケネディ(同じ苗字だが偶然とか)という二人だが、どちらも傑出したミュージシャンだ。驚きはゲスト・ヴォーカルとして参加した紅一点ダイアン・シューア。普段はピアノを引きながら歌うのだが、ヴォーカルだけでもその存在感は素晴らしい。70分間、ニューヨークの夜に相応しい音楽に浸ることができた。

2012年11月6日火曜日

Cirque du Soleil: The Beatles LOVE / October 12 at The Mirage Hotel at Las Vegas

2008年の秋に見て以来2回目のラヴ。相変わらずシルクの構成美には圧倒される。今回気づいたのだが、すべての席にステレオスピーカーが搭載されていて、会場のスピーカーから出る音とのバランスが素晴らしかった。音像そのもののデザインもされていたわけだ。 出演者は前回と同じだと思うが、細かなところでは新しく取り入れていることもありそう。メイキング映像もDVD化されているし、ますますショウとしての完成度が上がっているという感想だ。また、観にきたいもの。

Elton John: Million Dollar Piano / October 10 at Caesar's Palace, Las Vegas

セリーヌ・ディオンのワンマンショー会場としても著名なシーザースパレスのコロシアムで、エルトン・ジョンのショーアップされたライブを堪能した。リズムセクションとコーラスにチェロが二人というユニークな編成。 ライブそのものも魅力だが、そこはラスベガス。舞台の仕掛けもゴージャスで、見ごたえもたっぷりだった。デビュー当時からエルトンのライブといえば、ナイジェル・オルスンがドラムスだったが、今でも叩いている。いや、素晴らしいコラボです。 「Your song」や「クロコダイルロック」といったヒット曲が次から次へと展開され、会場も大いに盛り上がる。と、なんと前席の客をステージに上げてしまった。さすがサービス満点のエンターテイナー。いまだに現役ロックンローラーであります。

2012年9月7日金曜日

露崎春女 The Live 2012 "RESPECT"/ September 2 at Mt. Rainier Hall (Shibuya)

昔はLylicoと名乗っていたが、最近は「露崎春女」名義に定着した彼女。7月に70年代のソウルミュージックの名曲と彼女の師ともいうべきホイットニーヒューストンのカヴァーアルバムを発表、その曲を中心にした素晴らしいライブ。前回、六本木で聞いたときはライブのテーマも明確ではなかったが、今回はシンガーとしての本領を発揮した舞台で、彼女の才能がそこらじゅうにほとばしる舞台だった。 それにしても70年代のソウルにはなんと名作ぞろいのことか。 客席との一体感も十分で、彼女の地声はなんと大きいこと。あの小さな体のどこからでているのか、と思うくらい全身から響いてくる。思わずつられて歌っている自分がそこにいた。春名さん、サイコーでした。もちろん、バンドもよかったです。

2012年9月4日火曜日

山下達郎シアター・ライブ/ September 1 at BALD 9

1984年〜2012年のライブの中から選りすぐりの映像を構成したシアター・ライブという新しい試み。映画館でライブを見るのは初めてだが、さて。 超満員のシアターに、おなじみのアカペラが流れる。さすがに最近の映画館は音が素晴らしい。ライブを見ているときよりも音質がいいかもしれない。 最初は80年代の懐かしいパフォーマンスから始まる。さすがに映像の解像度は粗いが、タツローの若いこと。アカペラの「So Much In Love」は、昔ライブでも何度か聞いたことがあった。 ライブではおなじみのMCがないせいか、曲が次から次への流れるが、昨年大ヒットした「希望という名の光」のときに、はじめてMCが入る。このへんの構成は心憎いばかり。今年のライブは行けなかったが、やはりこの人はライブがいい。Go Ahead!

英国王のスピーチ/ August 26 at Setagaya Public Theatre

コリン・ファースがアカデミー主演男優賞を得た名作の舞台版、というより、もともと舞台のほうが先であったようだ。確かに演劇向きのテーマであるし、舞台向きの題材、ということなのだろう。構成もよく練られていて、長い芝居だが飽きさせない工夫が見える。 さて、主演はあの東山紀之、言語聴覚士ローグは三谷組の近藤芳正、そして国王の妻は安田成美という布陣。それぞれが役を自然に演じていて、引き込まれる場面もしばしば。見ごたえのある舞台、といっていいだろう。そうそう、ラ・サール石井がチャーチルを演じているのだが、なかなかいい味を出していた。 ストレートプレイは久しぶりだが、こういう感じの舞台も捨てがたい。また、映画がみたくなった。

2012年8月10日金曜日

WEST SIDE STORY/ August 1 at Theatre Orb in Shibuya

最上階に五島プラネタリウムがあることで有名だった東急文化会館が、渋谷ヒカリエとして生まれ変わった。その14階に誕生したのが日本で初めてのミュージカル専用劇場、シアターオーブ。 そのこけら落としとして選ばれたのは、時を超えたミュージカルの名作ウエストサイド物語。ステージ作品として誕生した本作の原作の雰囲気を活かしたブロードウェイ版の演出であるという。今や映画が名作として定着している作品だが、もとの舞台はこういう感じだったんだ、というムードがよくわかる。ミュージカル専用劇場だから、オーケストラボックスの存在は当たり前だが、やはり生の音は良いものだ。オーケストラは日米の混合チームだったが、素晴らしいパフォーマンスであった。 さて、2012年版のキャストはそれぞれに達者な演技者を揃えていて、思わずひきこまれる。特に主人公トニー役とマリー役は実力者で、歌だけではなく演技も一級。日本にも本格的なステージが生まれたことに喜びたい。音楽とダンスで有名な本作だが、舞台では実はシリアスな社会派ドラマであることを再認識させてくれた。

2012年6月17日日曜日

熱海五郎一座 落語日本花吹雪〜出囃子は殺しのブルース〜/ June 16 at Sunshine Theater

  昨年の「伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演」から、ほぼ1年ぶりの三宅(五郎?)座長の復帰公演である。一時は歩くことも厳しかったという状況だったらしく、まずは三宅さんの舞台復帰に大拍手!!   お帰りなさい。  さて、今回はおなじみの面々に美人演歌歌手、林あさ美を加えた設定。いつもこの一座は美人をフィーチャーしたがるね。落語の監修を務めた春風亭昇太も言っていたが、さすがに五郎一座の面々、舞台上での落語がそれぞれさまになっている。三宅さん、渡辺リーダーはもともと明治大学の落研出身なのだが、アズマックス、ラ・サール、そしておぐちゃんも達者な落語家ぶりを見せてくれる。  さて、物語は落語会を二分する協会の各会長、三宅とラ・サールが芸術大賞をめざしてしのぎをけずる中、ラ・サールが何者かに毒(?)をもられる。その真相はいかに? という筋書き。これをおう頼りない刑事役が昇太とSETのおなじみ河本千明(彼女も今やこの一座の重要なメンバーである)。  今日が二日目という舞台はところどころでNGもでてしまう!ものだが、そのフォローがまた可笑しい。とにかく、最初の頃に登場する三宅さんとオグちゃんの二人コントを見られただけで、今日は満足だ。

2012年3月12日月曜日

JERSEY BOYS / March 9 at August Wilson Theatre, Broadway, NYC



2006年のトニー賞を獲得したミュージカル。今でも人気の高いフランキー・ヴァリとフォーシーズンズの自伝的な作品。彼らのヒット曲「シェリー」や「ウォーク・ライク・ア・マン」などが散りばめられた舞台は、場面チェンジのテンポの良さや脚本のスマートさもさることながら、観客席が一体となった雰囲気がいかにもニューヨークだ。特に「Can't take my eyes off of you」は観客が総立ちになるほどの人気。やはりフォーシーズンズは、今でもニューヨークっ子の郷愁を誘うのかも知れない。
フランキー・ヴァリの背が低かったこと、またグループにおけるボブ・ゴーディオの才能と存在、そしてフランキーとボブの誓いなど、知らなかった事実が沢山でてきてストーリーとしても興味深い。
ラストはRock and Roll Hall of Fameの舞台で再結成されたグループが歌う「Who loves you」のパフォーマンスで終わるところなど、心憎いばかりの演出。フランキーを演じたジャロード・スペクターばかりでなく、本物よりもうまいと感じた俳優のレベル、そしてオーケストラの質の高さといい、完成度の高いミュージカルであった。

MARY POPPINS / March 6 at New Amsterdam Theatre, Broadway, NYC


1964年のディズニー映画、「メリー・ポピンズ」のブロードウェイ舞台版。今年で6年目のロングランだという。ジュリー・アンドリュースがアカデミー賞を映画デビューで飾った作品としても著名だが、映画としての完成度やシャーマン兄弟による名曲はすでにスタンダードである。
さて、その舞台版には映画のために作られた「チム・チム・チェリー」や「スプーン一杯の砂糖」などの曲の他に、新たな曲「Practically Perfect」「Cherry Tree Lane」など数曲が加えられたり、もともとの曲も多少アダプトされているが、実に舞台に溶けこんでいる。役者の達者ぶりはさすがにブロードウェイで、この日は二人の子役はアンダースタディ(代役のこと。ひとつの役に何人もつくことがある)が演じていたが、その見事なこと。舞台装置の素晴らしさもこのショーのひとつだろう。やはり、すべてのレベルにおいて、ブロードウェイは世界最高の舞台なのだ。

2012年2月11日土曜日

90ミニッツ/ February 10 at Parco Theater


昨年の1月に始まった三谷幸喜大感謝祭の最後の演目となる二人芝居。このシリーズの作品で見ていたのは舞台の「ろくでなし啄木」と「国民の映画」(そういえば、パルコ劇場でこれを見たのは大震災後の3月16日で渋谷が暗闇の街になっていたっけ)、そして映画の「素敵な金縛り」だから、この作品で4作めになる。
西村雅彦と近藤芳正の二人だけしか登場せず、しかもあとは天井から滴る水(?)とシンプルな家具のみという設定。医者と患者の父親が繰り広げる会話が緊張感をもって続いてゆく。この二人は、映画にもなった「笑いの大学」でも共演した中で三谷の昔からの仲間でもあるという。
「ひとつのロジックが別の見方からみると成り立たないこともある」という一種の不条理がたびたび会話に登場する。1930年代を代表するコメディアン、マルクス兄弟が得意とする「不条理笑い」にも通じる世界が展開する。
最後はほっとするようなエンディングであったが、ストレートプレイとしても楽しめる三谷らしい脚本・演出だった。

2012年2月5日日曜日

下谷万年町物語/ February 3 at Theatre Cocoon

圧倒的に猥雑で、圧倒的にパワフルな舞台だった。実在したと言われる男娼の街「下谷万年町」を舞台に現在と過去が語られてゆく。
1981年、パルコ劇場で演じられた初演と同じく、唐十郎と蜷川幸雄のリユニオンとなったステージは、藤原竜也、宮沢りえ、そしてAAAのメンバーでもある西島隆宏をメインキャストに総勢40名以上の大掛かりなもの。また脇役も豪華で六平直政や沢竜二といった演劇界の重鎮をはじめ、たけし軍団の井出らっきょや三又又三までくせのある連中が一同に並ぶ舞台は日本演劇のパワーを感じさせてくれた。
セットの時代感やつくりの丁寧さ、また時おり挿入される歌や照明効果など、3時間を越える長さなのに、エンディングまで一挙にひっぱられる展開とスピードに圧倒される。一度ではその深さがわからないのかもしれない。蜷川演出の素晴らしさをようやく味わえた気がする。

2012年1月23日月曜日

Pat Metheny with Larry Grenadier/ January 22 at Blue Note Tokyo

2010年、ひとりで「オーケストリオン」という驚異的な楽器システムとの
共演コンサートで話題を呼んだパット・メセニー。今回は2008年以来のブルーノートで注目のベーシスト、ラリー・グラナディアとのデュオステージだ。
二人という編成もあり、かなりアコースティック色の強い演奏。アコースティックギター1本の曲や、さまざまなネックや弦がついた特製のトリプルギター(?)など、見た目の楽しさもあり、じっくり聴き込む内容のライブ。
しかしベーシシストのラリーが加わると、「これでもか」というドライヴ感にブルーノート全体が震える。ジャズギターというよりパットの世界が現出する。
最後には、「オーケストリオン」の一部を使った同時演奏(!!)の曲。天才パット・メセニーの天才たる所以を垣間見れた気がした。