2015年11月23日月曜日

SET第53回本公演「虹を渡る男たち」/ November 23 at Sunshine Theatre

今年二回目の三宅・小倉コンビの舞台である。前回はコント集だったが、今回はタイムマシンがテーマのお話。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のトリロジーでも登場したタイムパラドックスなどが登場して、わくわくするような展開で進行する舞台は見応えのあるものだった。特に三宅・小倉の名コンビに、SETの三番目の男ともいえる野添義弘がからむ。野添の役は科学者でタイムマシンを発明した男という役割。この科学者のキャラクターが実に野添にぴったりなのだ。また舞台にいろいろ登場するアイドルもどきの面々、その歌や振りがほんものっぽいのだが、茶化した歌詞や歌が実に愉快。ナンセンス、ノベルティの楽しさを味わわせてくれた。スーパーエキセントリックシアターの舞台の魅力は笑いだけでなく、こういった音楽や振り付けのクオリティがミックスされたところにあるのだ。

2015年11月9日月曜日

Tatsuro Yamashita PERFORMANCE 2015-2016/ October 9 at Ichikawa Bunka Kaikan

ライブとしては5年ぶり。今年はシュガーベイブから数えて40周年ということで、彼の音楽活動の布石を振り返る記念の年となった。夏には「SONGS」の40周年記念 CDとレコードが発売され、なんとオリコンのベスト10に登場する!!などというニュースもあった。 そのような年のライブツアー、この市川がスタート地点に選ばれた。シュガーベイブの40周年ということもあるのだろう。ごく自然にSB時代の曲を多く演奏してくれて 初期のファンとしては感激。なかでも「シュガー」「すてきなメロディー」「過ぎ去りし日々」など、アレンジもそのままで実に嬉しかった。また自身の曲のなかでも 今までライブで演奏したことのない「土曜日の恋人」が飛び出したり、タツローならではのテイストが満載であった。おなじみ「Let's Dance Baby」のエンディングには 「師匠」大瀧詠一のヒット曲がメドレーで展開。思わず涙が滲んだときもあった。アンコールでは、ギター1本の「ラストステップ」。やはり彼の音楽はいつ聴いても素晴らしいのであった。

2015年9月25日金曜日

大貫妙子/ September 16 at Billboard Tokyo

ブルーノートで3月に見ているから今年2回目のライブである。 今回はトリオではなく、いつものゴールデンメンバー、小倉、レザパネ、林、沼澤、鈴木、森 にサポートされた実に心地よいサウンドに酔いしれる夜だった。 8月に40周年記念として発売されたシュガーベイブのデビュー作『SONGS』。久しぶり に聞いた彼女の声の若々しいこと。でも70年代とは思えない力強い音に感心した。今回は なんとREMIXバージョンも登場したのだが、オリジナルとは微妙な差。これを聞くと達郎では ないが、やはり笛吹銅次こと故大瀧さんのエンジニア力がいかに大きかったかがわかる。 「新しいシャツ」「都会」などのおなじみの曲に加えて、このバンドで録音していた『One Fine Day』からの「デジャヴ」を聞かせてくれた。このサウンドが実に気持ちよい。 そしてアンコールは、やっぱり「いつも通り」であった。オリジナルアレンジに近いサウンドで彼女のデビュー時を彷彿とさせてくれた。

2015年8月30日日曜日

風街レジェンド2015/ August 22 at Tokyo International Forum

松本隆の作詞生活45周年記念のスペシャルイベント、まさに待望のライブに参加することができた。1973年9月21日のLast TIme Aroundからはや43年。 あの伝説の「はっぴいえんど解散コンサート」といろいろイメージが重なるところが多い濃厚な時間だった。 はっぴいえんどをみるのも(ひとり欠けてしまったが)そのコンサート以来。 ライブの構成もなかなかに凝っていて、まずは最初に「はっぴえんど」が登場! 三人で「夏なんです」「花いちもんめ」を演奏したあと、大瀧さんの代わりを 佐野元春に託してレコードと同じアレンジで「はいからはくち」! 久しぶりに松本さんのドラミングを聴く。 このオープニングから、ほぼ年代順に松本作品が歌われていく。 そして最後のトリは、寺尾明の「ルビーの指輪」。なんと豪華な顔触れだったことか。4時間近かったにもかかわらず、ダレることのないライブであった。井上 鑑をバンマスとする 風街バンドのクオリティも素晴らしく、歌謡曲、ロックの違いをあまり感じなかった。アンコールでは、ユーミンもサプライズで登場し、最後は全員がスタンディングオベーションで終わった。1970年に出会った「はっぴいえんど」という音楽がもっていたパワーと広がりを実感した夜だった。

2015年8月3日月曜日

The King and I / June 23 at Lincoln Center (New York)

どうせニュヨークに行くのだからと同じ時期の公演情報をしらべていたとき、突然「王様と私」の広告がリンカーンセンターのウェブサイトで目に入った。「王様と私」といえばユル・ブリンナーのあたり役。そのリバイバル公演なんだ、と思って驚いた。なんと「Ken Watanabe」の文字。え? あの渡辺謙さんがミュージカルの主演? 「渡辺謙がトニー賞をとれるか?」という大騒ぎにわいた日本のマスコミが注目する半年も前のことである。ずっと前から知っていたということが自慢になるほど、ここまで話題になるとは思わなかった。 さて、実際の公演。謙さんの存在感は素晴らしかった。ブロードウェイの目の肥えた観客を魅了する力量、ここにあり。日本人として誇りに思える。また共演のケリーオハラのパフォーマンスも見事。確かに今年のトニー賞を受賞しただけの実力の持ち主。客席には「堺マチャアキ」さんの顔も見えたが、数人が日本から鑑賞に来ていた。ただ、ストーリーはちょっと後半は残念な展開。こうして、ニューヨークのエンタメ旅行は終わったのだった。 またくるぞ、ニューヨーク!

Tony Bennett and Lady Gaga / June 21 at Radio City Music Hall (New York)

2014年の 11月にこのコンサートの存在を知り、それがきっかけで今回の旅行につながった。それだけにこのライブは半年間待ち望んでいたものだ。 御年、84歳の現役歌手であるトニー・ベネット。あのシナトラが唯一お金を出しても聞きたい歌手と言ったのがベネット。初めてみたライブに驚いた。マイクなしで歌うパフォーマンスがやれるほどの声量、リズム感。脱帽である。 また、そのベネットとのデュオにもかかわらず、ひとつもひかないレディ・ガガの存在感。座席からは遠かったのだが、なんと7回も衣装を変えて、ほとんどスケスケではないかと思える衣装も披露するなどガガの本領を発揮。その歌の上手さも半端ではない。 最後は「スウィングしなけりゃ意味がない」の大合唱。ニューヨークならではの大人の夜に酔いしれたライブであった。

Beautiful -The Carole King Musical / June 20 at Stephen Sondheim Theatre (New York)

014年度のトニー 賞、主演女優賞を獲得したJessie Muellerの出演はなくなったが、とにかくぜひ一度見てみたかったミュージカル。キャロル・キングのソングライターとしてのデビュー時代から「つづれおり」でシンガーソングライターとして成功するまでを描いた半生の物語。 大瀧詠一さんのラジオ番組「ゴー・ゴー・ナイヤガラ」を聞いてきた世代としては、キャロル・キングは伝説に属するが、その歴史が再現される舞台とあっては見逃すわけにはいかない。 アルドン・ミュージックのドン・カーシュナーやキャロルのライバルとして登場するバリー・マン&シンシア・ウェイルはたまたドリフターズやシュレルス、そしてライチャス・ブラザースまで登場するという豪華な布陣。それにしてもキャロルの曲はどれも大ヒット曲ばかり。アメリカ音楽界のレジェンドにふさわしい。 アメリカンミュージックの大いなる歴史のひとこまを凝縮したミュージカル。日本にもぜひツアーしてほしいものだ。

Billy Joel / June 19 at Madison Square Garden (New York)

月に1度ずつ開催されているビリー・ジョエルのマディソンスクエアガーデンライブ。ぜひ一度行ってみたかったのだが、はからずも6月に実現することになった。これも含めて今回はNYCエンタメ旅行ともいうべき機会になった。 第1弾がこのビリー・ジョエル。ニューヨーク出身だけに地元でのライブがどんなものなのかという期待だったが、いやその盛り上がりのすごいこと。曲が始まるとみんなの大合唱。どんな曲でも知っているファンが集まっているという感じ。ただ黒人がひとりもいない。こんなところにアメリカの現実を垣間見る。 しかし、ビリーの曲は名曲ばかり。最後に「ピアノマン」でハーモニカを吹くと会場中が怒涛のような拍手に包まれる。これが地元ライブの凄さか。ニューヨークならではの雰囲気を堪能した夜だった。

Hiromi Uehara / April 20 at Blue Note Tokyo

もともと予定されていたライブではない。あるアーティストの出演がキャンセルとなり急遽彼女に打診したところ、偶然にスケジュールが空いていて実現したのだという。 しかしライブの案内が始まってから1日でチケットが売り切れたという人気ぶり。着実に固定ファンが多くなっているのだ。 いつものレパートリーに加えて、「ラプソディ・イン・ブルー」を彼女なりにアレンジした作品まで、ソロピアノということを忘れてしまうほどのど迫力。ひろみならではの音世界に酔いしれる。 今や世界一のジャズピアニストといえるのではないか。

2015年7月7日火曜日

Makoto Ozone CFX Piano Concert/ July 5 at Westa Kawagoe

埼玉県川越市に誕生したばかりのホール施設、ウェスタ川越の杮落としにちかいピアノコンサート。ジャズピアニストの小曽根真のソロライブであり、彼の好みであるYAMAHAのCFXグランドピアノをフィーチャーした暖かいコンサートだった。自作曲を中心とした前半、クラシック(ショパンやモーツァルト)をモチーフにした曲を聴かせてくれた後半、いずれもピアノを弾くのが楽しくて仕方がない、という彼独特のムードに会場が微笑む。12月には彼のジャズピアニストの原点、オスカーピーターソンのトリビュートCD(世界中のピアニストが参加)が発売されるが、彼も数曲演奏しているとのこと。最後にサプライズで、オスカーの誕生日メッセージを観客全員が参加してビデオに録画することになった。youtubeに上がるのももうすぐだろう。

2015年3月23日月曜日

「冬の旅」発刊記念コンサート/ March 22 at Toppan Hall

あの松本隆がプロジェクトとして取り組んだシューベルト作品「冬の旅」現代語訳によるコンサート。芸大出身のテノール鈴木唯、オーストリアの音大で講師を務めたこともある三ツ石潤次のピアノというシンプルな構成だが、24曲を一挙に聞かせるという趣向で、新たな命を吹き込まれた歌曲が大きなパワーをもった感じだ。演奏の前には、友人の放送作家、植竹くんをインタビュワーとした松本さんのトークコーナーや「辻音楽師」の一節を朗読する時間があったりと、飽きさせない工夫がみてとれた。久しぶりのクラシックだが、こういうかたちで松本さんの最近の仕事をみられるのは幸せなことだ。

2015年3月18日水曜日

Taeko Onuki/ March 16 at Blue Note Tokyo

ピアノトリオというシンプルな構成でやるライブ。しかも一晩だけのパフォーマンスとのことで、これは聞き逃せないと平日の夜に訪れた。 1局目は「若き日の望楼」。初期の頃の曲だがヨーロッパの牧歌的な雰囲気をもつ名曲。ファビアン・レザパネのしとやかなピアノにも酔いしれる。 とつとつとしたトークも「ター坊」らしくていい。今アルバムを作っているらしく、そこで共演しているバンドネオンの小松亮太がゲスト出演。 久しぶりに新しいアルバムを札幌でレコーディングしているらしく、オリジナルなアルバムとしては「One Fine Day」以来かしら。 アンコールはバラード「Time to go」。言葉がしみる名曲でした。

2015年2月28日土曜日

Sachi Hayasaka's BIRTHDAY LIVE / February 26 at Ekoda Buddy

弟の大学時代の友人で、サックスプレイヤーの早坂紗知さんのバースデイーライブに行きました。競演はなんと山下洋輔さん。お二人とも同じ誕生日ということで、今年で29年目になるのだとか、いやはら脱帽です。フリージャズあり、ラテンあり、ピアソラありとヴァラエティに富む曲目で、3時間近いライブでしたが実に熱のこもった演奏でした。ベースがご主人、バンドのバリトンサックスが息子さんという家族プロジェクトというのも珍しいらしく、これだけでも素晴らしいこと。 また、来年もぜひ来てみたいライブです。

2015年2月1日日曜日

ザ・タイトルマッチ2 小倉寛久・三宅裕司 / February 1 at Honda Theatre

オグちゃんの還暦祝いライブ。全部で5つのコントで構成されており、二人の息がぴったりなことはもちろん、バラエティにとんだ設定で飽きさせない2時間だった。日替わりのゲストは今日は渡辺リーダー。おなじみのコーラ一気飲みを披露したり、とくいのギャグなどでオグちゃんを盛り立てていた。今回のコントは数人による合作らしく、いろんなスタイルの台本になっていた。最後はお二人とくいの音楽ネタ。これも彼らならではの魅力である。今年最初の舞台としては、素晴らしい内容でした。さて、今年のベストワンは何になるだろう?

Ole Borud / January 31 at Cotton Club

友人が紹介してくれたノルウェー出身のシンガーソングライター、オーレ・ブールード。最近発表された「Stepping Up」というアルバムはまさに私のツボにはまるサウンド、曲でいっぺんにお気に入りに仲間入り。そんな彼が来日するというので、バンドのメンバーと早速かけつけた。新アルバムを中心としたセットリストのようだが、今までの曲も我々と同じルーツ、テイストが心地よい。オーレは声もいい、歌もうまい。ギターもグレイドンやルカサーを思わせるギタリストでもある。またオーレを支えるバンドもツワモノぞろい。5人とは思えない厚いサウンド。しかも無駄な音が皆無。そのうえコーラスもなかなかという、アメリカでもなかなかいないのではないかという実力。まだまだ世界は広いもんです。

2015年1月11日日曜日

MICHEL CAMILO Three + Three / January 2nd at Blue Note Tokyo

およそ1年ぶりのミシェル・カミロ登場! 前回はビッグバンドを率いてのライブだったが、今回はブラス3人プラス3リズムという構成。相変わらずのダイナミックなピアノプレイは健在。オリジナルを中心に、ときおりスタンダードも絡めたセットリスト。2時間近い演奏をノンストップで展開するエネルギーがすごい。それほど大きくない体に秘められたダイナミズムはどこからくるのだろう。ラテン特有のノリを生かしたモントゥーノのセンスも素晴らしい。今、一番乗っているジャズピアニストのひとりだろう。正月そうそうノックアウトされたライブでした。