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国民の映画/ March 16 at Parco Theater

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東日本大震災の影響で、数日前には休演となっていたが16日からの再開初日の舞台である。計画停電ではないが大幅な節電のおかげで、東京一の繁華街であるはずの渋谷駅は真っ暗に近い状態。たったひとつの地震がここまで世の中を変えてしまうとは、改めて自然の偉大さを思う。 冒頭、作者の三谷幸喜が舞台にあがり、こんな時期だからこそ舞台人として、芝居を続けたいというメッセージを話すと客席からは大きな拍手が起こったのだった。 ヒトラー時代の宣伝相ゲッペルス(無類の映画好きで知られ、風とともに去りぬが大好きだったという)が自宅でパーティを開く話。当時のドイツの映画人達(ほとんど実在の人物たち)が招かれ、その目的を知らされるのだが。。。ゲッペルスには小日向文世、映画監督ヤニングスには風間杜夫などなど、一流の演劇人たちの演技に酔いしれた夜だった。 そうそう、三谷幸喜が始めた劇団「東京サンシャインボーイズ」出身の俳優、小林隆。いかにも舞台向きの名優になってきた。

Kyle Eastwood/ February 11 at Blue Note Tokyo

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この10年で一番油の乗り切っている映画監督といえば、クリント・イーストウッドだろう。今やアカデミー賞の常連となった彼だが、何十年もの間実力がありながらハリウッドから評価されなかったというのだから世の中わからない。 さて、今日はそのクリントの息子でありミュージシャンのカイル・イーストウッドの話だった。最近のクリントの作品「グラン・トリノ」や「硫黄島からの手紙」などの音楽を手がけている。もともとクリントもジャズに造詣が深いことで知られており、そんな父の影響をもろに受けているのだろう。しかし、音楽はそんなクリントの存在をみじんも感じさせない素晴らしい演奏に満ちていた。自らはベーシストであり、今回はピアノ、ドラムス+2ホーンというクァルテット。ときにジャジーにときにソウルフルな演奏は聴き応え充分、ウッドベースの形をしたベース、ギブソンのエレクトリックベース2本を曲により弾きわけるのだが、とにかくテクニックも素晴らしく、センスも確かなミュージシャンだった。ルックスはおやじよりも美男子ではないだろうか。注目に値するベーシストである。

ろくでなし啄木/ January 10 at Tokyo Art Theater

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今年は「三谷幸喜 大感謝祭」の年だそうだ。彼もいよいよ50歳なのだ。舞台がみっつ、映画、テレビとかなり力を入れることになるという。その第1弾がこの舞台。藤原竜也、中村勘太郎そして紅一点、吹石一恵の三人舞台である。舞台装置もなかなかユニークだったが、芝居のプロットの面白さはまさに三谷の独壇場。二人が啄木の思い出を語り出す冒頭からサスペンスドラマのような展開に次第に引きこまれていく。休憩を入れておよそ3時間の長さも感じさせない。 藤原竜也の個性も素晴らしかったが、勘太郎のその動きの見事さに魅せられてしまった。さすがに子供の頃から歌舞伎界で育ってきたことはある。ひとつひとつの仕草が歌舞伎の振りのようだ。また吹石の爽やかだが妖艶な演技も見事。 年初めには最高のエンタテインメントとなった。

UTAU-Taeko Ohnuki & Ryuichi Sakamoto/ December 17 at Kawaguchi LILIA

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この秋に発売されたCD「UTAU」をテーマにした大貫妙子と坂本龍一のコンサート(まさにライブではなく、コンサートに相応しい内容だった)。ピアノとヴォーカルというシンプルな構成だが、お互いの個性が見事に表現されていて、会場全体が息をすましながら二人が紡ぐ音とその余韻に聴き入るといった風情に満ちていた。 ピアノとヴォーカルだけのスタイルといえば、70年代にも名盤があった。ハリーニルソンがランディニューマンのピアノをバックにニューマンの唄をていねいに歌った「ニルソン・シングス・ニューマン」である。この解説に当時のミュージックマガジンの編集長、中村とうようが二人の出会いを称して「一期一会」と書いていたことをよく覚えている。 大貫と坂本はそれこそ20年以上にわたって一緒に音創りをしてきた仲であるが、今回のプロジェクトは余計な音をすべて削ぎとり、ピアノと声に集約していた。時々、それぞれの奥深さを語り合い、またある時は重なり合う。これほどまでに研ぎ澄まされた音は久しぶりだ。アンコールでは「戦場のメリークリスマス」に加え、二人の一番油の乗り切った頃の歌「色彩都市」も披露してくれた。たっぷり2時間。聴き応えいっぱいのプレゼントであった。それにしても大貫の「四季」はなんと素晴らしい曲だろう。坂本のピアノの繊細さと見事なまでにフィットした演奏だった。日本の情緒、ここにあり。

Stanley Clarke Trio with Hiromi Uehara/ November 28 at Bluenote Tokyo

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今週、二度目の上原ひろみである。今回は元リターン・トゥ・フォーエヴァーのリズムセクション、スタンリー・クラーク(bass)とレニー・ホワイト(drums)とのジャズトリオである。この三人でCDも出しているのだという。いやはや、ほんとにHIROMIちゃんは世界的なミュージシャンになったのです。 このトリオの中でもしっかりとした存在感をだしつつ、トリオの中の秩序を壊さずにそれでいて「HIROMI」ならではのフレージングを聴かせてくれる。セットリストの中には「さくらさくら」といったオリエンタルなものもあるが、どちらかというとRTFの延長線にあるような曲が多い。「スペイン」風の曲やかなりモダンジャズ的な曲など、どれも聴き応えはたっぷり。ラストとアンコールでは日本人のホーンセクション4人も加わり、厚みのある演奏を聴かせてくれた。

Hiromi Uehara/ November 23 at Yamaha Hall

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ながらく建替えのために閉じていた銀座のヤマハホール(今年の2月に再オープンした)での、上原ひろみのパフォーマンスである。今回は、彼女を何度かゲストに呼んだこともあるというFMのパーソナリティ、ルーシー・ケントとのトークもあり、ちょっと変わったライブとなった。 全9曲の演奏は、ひろみならではのダイナミックなもの。本当に今や世界最高峰のジャズピアニストといえるだろう。曲は昨年発表された「プレイストゥビー」からがほとんどだったが、そこは毎回毎回違うバリエーションが聴けるわけで、また逞しさを増した感じをうけた。 ルーシーとのトークもなかなか面白く、いかにして弱い小指、クスリ指を鍛えるか? とか、団結力を高める一番手っ取り早い方法は同じ食事をすること!など、期待以上の盛り上がりを見せ、サービス精神の旺盛なところも垣間見せてくれた。ほんとに素晴らしいピアニストなのだ。

Tatsuro Yamashita Performance 2010/ November 4 at NHK Hall

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実にデビュー35周年記念のライブだという。そうか、もうあれから35年、でもたった35年、という感慨もあり、自分自身の歴史とも重なるからそうなのか。なぜかセンチメンタルな気分になってしまう。とにかくこのライブチケットの入手には苦労したのだ! 新しいシングル「希望という名の光」のリフレインをベースにしたアカペラのオープニングから「Happy Happy Greetings」が始まった。昨年久しぶりに堪能したライブからちょうど1年ほど。リズムセクションのごきげんさは変わらず(それにしても、難波さんは若い!)。 今回のセットリストは初期のものを集めたというとおり、シュガーベイブ時代の曲が数曲もあり、大学時代、荻窪ロフトあたりで聞いたライブを思い出す。確かに音はメジャーセブンやナインスを多用したポップな音楽ではあったが、彼らの音楽に対する姿勢は今思えばラディカルそのものではなかったか。当初3000枚も売れなかったというシュガーのLP「ソングス」を持っていることを誇りにしたいと思うのだ。 追加公演ということもあり、いつものファン層というよりは、初めての客が多かったけれど、そのサービス精神は相変わらず。MCの毒舌ぶりもまた、タツローの魅力なのだった。これはシュガーベイブのデビューコンサートから変わらないね。 アンコールの「いつか」や「DOWNTOWN」にはまたまた、涙腺がゆるんでしまうのだ。  KEEP ON SINGING, Tatsuro!