2012年2月11日土曜日

90ミニッツ/ February 10 at Parco Theater


昨年の1月に始まった三谷幸喜大感謝祭の最後の演目となる二人芝居。このシリーズの作品で見ていたのは舞台の「ろくでなし啄木」と「国民の映画」(そういえば、パルコ劇場でこれを見たのは大震災後の3月16日で渋谷が暗闇の街になっていたっけ)、そして映画の「素敵な金縛り」だから、この作品で4作めになる。
西村雅彦と近藤芳正の二人だけしか登場せず、しかもあとは天井から滴る水(?)とシンプルな家具のみという設定。医者と患者の父親が繰り広げる会話が緊張感をもって続いてゆく。この二人は、映画にもなった「笑いの大学」でも共演した中で三谷の昔からの仲間でもあるという。
「ひとつのロジックが別の見方からみると成り立たないこともある」という一種の不条理がたびたび会話に登場する。1930年代を代表するコメディアン、マルクス兄弟が得意とする「不条理笑い」にも通じる世界が展開する。
最後はほっとするようなエンディングであったが、ストレートプレイとしても楽しめる三谷らしい脚本・演出だった。

2012年2月5日日曜日

下谷万年町物語/ February 3 at Theatre Cocoon

圧倒的に猥雑で、圧倒的にパワフルな舞台だった。実在したと言われる男娼の街「下谷万年町」を舞台に現在と過去が語られてゆく。
1981年、パルコ劇場で演じられた初演と同じく、唐十郎と蜷川幸雄のリユニオンとなったステージは、藤原竜也、宮沢りえ、そしてAAAのメンバーでもある西島隆宏をメインキャストに総勢40名以上の大掛かりなもの。また脇役も豪華で六平直政や沢竜二といった演劇界の重鎮をはじめ、たけし軍団の井出らっきょや三又又三までくせのある連中が一同に並ぶ舞台は日本演劇のパワーを感じさせてくれた。
セットの時代感やつくりの丁寧さ、また時おり挿入される歌や照明効果など、3時間を越える長さなのに、エンディングまで一挙にひっぱられる展開とスピードに圧倒される。一度ではその深さがわからないのかもしれない。蜷川演出の素晴らしさをようやく味わえた気がする。