2010年12月18日土曜日

UTAU-Taeko Ohnuki & Ryuichi Sakamoto/ December 17 at Kawaguchi LILIA


この秋に発売されたCD「UTAU」をテーマにした大貫妙子と坂本龍一のコンサート(まさにライブではなく、コンサートに相応しい内容だった)。ピアノとヴォーカルというシンプルな構成だが、お互いの個性が見事に表現されていて、会場全体が息をすましながら二人が紡ぐ音とその余韻に聴き入るといった風情に満ちていた。
ピアノとヴォーカルだけのスタイルといえば、70年代にも名盤があった。ハリーニルソンがランディニューマンのピアノをバックにニューマンの唄をていねいに歌った「ニルソン・シングス・ニューマン」である。この解説に当時のミュージックマガジンの編集長、中村とうようが二人の出会いを称して「一期一会」と書いていたことをよく覚えている。
大貫と坂本はそれこそ20年以上にわたって一緒に音創りをしてきた仲であるが、今回のプロジェクトは余計な音をすべて削ぎとり、ピアノと声に集約していた。時々、それぞれの奥深さを語り合い、またある時は重なり合う。これほどまでに研ぎ澄まされた音は久しぶりだ。アンコールでは「戦場のメリークリスマス」に加え、二人の一番油の乗り切った頃の歌「色彩都市」も披露してくれた。たっぷり2時間。聴き応えいっぱいのプレゼントであった。それにしても大貫の「四季」はなんと素晴らしい曲だろう。坂本のピアノの繊細さと見事なまでにフィットした演奏だった。日本の情緒、ここにあり。

2010年12月12日日曜日

Stanley Clarke Trio with Hiromi Uehara/ November 28 at Bluenote Tokyo


今週、二度目の上原ひろみである。今回は元リターン・トゥ・フォーエヴァーのリズムセクション、スタンリー・クラーク(bass)とレニー・ホワイト(drums)とのジャズトリオである。この三人でCDも出しているのだという。いやはや、ほんとにHIROMIちゃんは世界的なミュージシャンになったのです。
このトリオの中でもしっかりとした存在感をだしつつ、トリオの中の秩序を壊さずにそれでいて「HIROMI」ならではのフレージングを聴かせてくれる。セットリストの中には「さくらさくら」といったオリエンタルなものもあるが、どちらかというとRTFの延長線にあるような曲が多い。「スペイン」風の曲やかなりモダンジャズ的な曲など、どれも聴き応えはたっぷり。ラストとアンコールでは日本人のホーンセクション4人も加わり、厚みのある演奏を聴かせてくれた。